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 公務の目的である式典はつつがなく進行した。

 ヴィヴィアン様は凛としていてとても美しく、立っているだけで人々の羨望を一身に集めていた。堂々たる王者の風格と女性らしい優雅で柔らかな雰囲気をあわせ持ち、14歳という年齢をまったく感じさせない。スピーチも見事で、俺は心から感心してしまった。


(魔術師団をこっそり覗いていらっしゃった頃が懐かしいな……)


 あのときは表情も行動もどことなく幼くて、ただただ愛らしかったというのに、女性というのは一瞬でこんなにも鮮やかに変貌を遂げるものなのだろうか? だとしたら、とても目が離せない――――そんなふうに感じた。


 式典のあとも、貴族や文化人たちが次々にヴィヴィアン様のもとを訪れ、挨拶をしていく。ヴィヴィアン様はその一つ一つに笑顔で答えていた。


(すごいな……)


 早朝から数時間馬車に揺られたうえ、式典への参加。疲れていないはずがない。けれど、ヴィヴィアン様はそういった様子を微塵も見せず、朗らかに微笑み続けていた。