「そうですねぇ……ヴィヴィアン様には俺が生まれてから今日までの間にもらったプレゼントのなかで、どれが一番嬉しかったかわかります?」

「え? プレゼント?」


 どれだろう? 
 贈り主をわたしに限定しても、数え切れないぐらい(こっそり)贈りものをしてきたから、すぐにピンとくるものがない。

 魔術師団宛に贈ったものならローブや魔法石。
 エレン様個人宛だと靴や時計、ティーカップや香水、宝石とか、候補があまりにも多すぎるんだもの。
 もしかしたら、わたし以外の――――たとえばお母様からいただいたものとかかもしれないし。

 ウンウン首をひねっているわたしに、エレン様はそっと目を細めた。


「ヴィヴィアン様、俺はね――――あなたが俺の誕生日にここで食べさせてくれたケーキが一番嬉しかったです」

「え……? ケーキ?」


 それはわたしにとって、あまりにも思いがけない回答だった。目を丸くしつつ、わたしはそっと身を乗り出す。