「わたし、エレン様に全然いいとこ見せられてないよ? ここでのわたしは、いっつも興奮してて、冷静なときなんてまったくなくて――――エレン様に熱狂しているところしか見せられてない。それなのに、エレン様に思っていただけるはずなんて……」

「あんなふうに『好きだ』って言ってもらえたら、嬉しいと感じるほうが普通だと思うよ? 少なくとも俺はすごく嬉しかったし、俺を想って笑うリリアンを――――ヴィヴィアン様を可愛いと思った。ドキドキした。好きになった。それが事実だ」


 エレン様はそう言って身を乗り出す。鼓動が過去一早い。恐ろしいほどの大音量で鳴り響いていた。


「それから俺は、皇女としてのヴィヴィアン様のことだってよく知っているし、とても愛しく思っているよ。誇り高く凛としていて、変化を恐れずにいろんなことに取り組んでいて、懐が広く、人を見る目に優れている。それから民をとても大事にしているってことも」

「それは……当然よ。だって皇女だもの。皇女は常にそうあるべきなんだもの。本当のわたしのほうが間違っているんだもの」