「エレン様……? え? え……と? えぇ?」


 嘘。うそうそ。
 誰か嘘だと言ってほしい。


 だって、さっきエレン様が口にしたヴィヴィアン像はわたしそのもの――――というか、リリアンに扮しているときにエレン様に見せてきた、ありのままのわたしだった。

 そもそも、わたしがこのカフェの経営者だってこともご存知だったみたいだし、完全に正体がバレている。

 一体いつから? どうして? 聞きたいことが山ほどある。だけど、まったく言葉にできない。
 驚きすぎて、いろいろと信じられなくて、なにから尋ねたらいいのやら――――


「好きなんだ、君のことが」


 エレン様が言う。とても真剣な表情で。
 体温がブワッと一気に上昇した。


「わ、たし……わたしって」

「好きだよ。ヴィヴィアン様のことも、リリアンのことも。どちらも同じ、一人の女性だろう?」

「そ、そう、だけど。そうなんだけど!」


 なんで? どうして? どうしてリリアンがわたしだって気づいたの? どうしてこんなわたしを好きになってもらえたの? 全然、理解が追いつかない。頭の中がパニック状態だ。