だけど、リリアンという存在を介して、改めてそれを確かめるのはあまりにも気が引ける。だって、間違いなく冷静ではいられないし、自分からエレン様の――――彼の気持ちを確認するなんて、怖くて、恥ずかしくて、なんだか嫌だ。

 ――――そう思っているくせに、なんでだろう? 気を抜いたらついつい口を開きそうになる。どうして? ってそう尋ねたくなる。


(結婚できないって主張してるのはわたしのほうなのに)


 最近のわたしは変だ。いろんなことが矛盾しているんだもの。
 嬉しかったり切なかったり、驚いたり困惑したり、状況が目まぐるしく変化した上、色んな感情が心のなかで爆発していて、どうしたらいいかわからない。わたしひとりじゃ処理できない。

 これ以上は考えないほうがいい。後回しにして、見なかったことにしたい。そうしたら、いつの間にか消えてなくなっている気がするし。――――それじゃダメなのかな?


「目を背けないで」


 そんなとき、まるでわたしの心の声に呼応するかのように、エレン様の声が聞こえてきた。


「え……?」

「一緒に、ひとつずつ考えていこう」


 なにを? と尋ねる間もなく、エレン様が微笑んだ。