本当になんて献身的な従者なんだろう! お父様にお願いして、給料をアップしてあげなきゃ。それからいい縁談も。今回の大会のわたし的裏テーマが今決まった。


「それじゃあ、お言葉に甘えて、カフェに顔を出させてもらおうかな。それから、カフェのあと、魔術師団に寄る時間もとれる? 騎士団にだけ顔を出して、魔術師団には顔を出さないんじゃ、なんだか不公平だものね」


 もしかしたらエレン様を垣間見れるかもしれないし――――って本音は言わずに心のなかにしまう。


「もちろん! 織り込み済みでございます」


 ヨハナはわたしの本音を知ってか知らずか、嬉しそうに胸を叩いた。
 会話をしながら騎士団を出ると、すぐそこにわたし専用の馬車が停まっていることに気付く。護衛たちも勢ぞろいだ。馬車を待つ時間があると思ったのに――――めちゃくちゃ準備万端だ。


「ささ、参りましょう」


 上機嫌のヨハナに促され、わたしは馬車へと乗り込んだ。