「……そうだ! ねえ、賭博対策はできてる?」


 こういう大きな大会では、たとえ禁止をしていても、裏で賭け事をする輩が必ず出る。予め手を打っておかないと、結構面倒くさいのだ。


「はい、ヴィヴィアン様。既に手を回しております」

「さすが」


 わたしの脈略のない質問に対しても、ヨハナはすぐにその内容、意図を理解し、ほしい答えを返してくれる。わたしはよし! と大きくうなずいた。


「あーあ、ヨハナが男性だったらなぁ。こんな大会なんて開かず、すぐにわたしの皇配候補に推薦したのに」

「まあ、ヴィヴィアン様! そんな……滅多なことを仰らないでください!」

「だって本当のことだもの。あなたほど有能な人間はそういないわ。いつも助かってる。ありがとう」


 心からの感謝を述べれば、ヨハナは顔を真赤にして「光栄ですわ」と小さく呟く。わたしは微笑みつつ「さてと」と気持ちを切り替えた。