わたしが異種武闘大会を発案してから3日後、騎士団や魔術師団に対し、さっそく大会開催の通達が行われた。
 急なことでみんな驚いたらしいけど、今のところは皇族の思いつきってことですんなりと受け入れられている。訓練のモチベーションも上がっているようでなによりだ。


(よしよし、みんな頑張ってるなぁ)


 鬼気迫る勢いで訓練を行う騎士たちを眺めつつ、わたしはウンウンとうなずく。


「普段からみんな、このぐらい気合を入れてくれたらいいんだけどね」


 やはり目に見えたご褒美がないと、人間はモチベーションを保てない生き物らしい。
 まあ今回については、賞金とか、名誉とか、今後の出世とか、皇配の地位とか、目に見える褒賞が大きいから、みんなの目の色が変わるのは当然だろうけど。


「ヨハナ、運営に関してなにか困っていることはない?」

「いえ、なにも。前回の大会と異なる部分については、既にヴィヴィアン様、陛下にご確認いただき詳細を決めておりますし、必要な人材も集まりましたので、至って順調かと存じます」

「そう、それは良かった」


 今回、運営に回る文官の働きについても皇配選びにおける重要なポイントだ。ヨハナをはじめ、信頼できる数人に彼らの働きぶりをよく見ておくよう指示している。能力が秀でている文官を見つけたら、本人の希望に見合った部署への配置換えだって検討するし、皇配候補の一人にだってなれうる。

 年功序列を大きく切り崩す絶好の機会。ぜひとも有効に活用してほしい。

 まあ、変化を好まない重鎮たちには若干不評だけど、自分の息子や血縁者が手柄を立てる可能性もあるからってことで、表立って意見を言う人間はいない。わたしとしては、これまで停滞していたいろんなことが大きく動くので、見ていてとてもワクワクする。