「さすが……勘が鋭いな」

「――――いいんですか? そんな明け透けにバラしちゃって」


 指摘したのは俺のほうだけど、てっきりしらばっくれるとばかり思っていた。こんなふうにあっさり認められるとは思っていなかったのだけれど。


「いいんだよ。元々『隠せ』って言われてないし。むしろ、あっちは早くおまえに気づいてほしいって思ってたんじゃないかな? そうしたほうが目的達成のために効率がいいからさ」


 先輩の発言には主語が綺麗に抜けていて、彼が誰の思惑で動いているのかはわからない。だけど、それがヴィヴィアン様じゃないことはわかるし、元々、先輩の雇い主が誰かを知りたいわけではない。


「でしたら、これからは遠慮なく情報を要求させていただきます。俺と先輩たちが目指す方向は同じようですから」


 俺がリリアン――――ヴィヴィアン様を知ったキッカケも、元はと言えば先輩が俺をカフェに連れて行ってくれたからだ。

 つまり、先輩やその裏にいる人物は、俺とヴィヴィアン様を結びつけたいと考えている。

 現在は俺と彼女が結婚することを望んでいる、と考えて間違いないだろう。


「オッケー。そのために俺がここにいるんだし、まどろっこしくなくてウィンウィンだよな」


 先輩はそう言ってグッと大きく伸びをする。それからふぅ、と小さくため息をついた。