【電書&コミカライズ】推しとは結婚できません!〜最強魔術師様の結婚相手がわたしだなんて、めちゃくちゃ解釈違いです!〜

「まあ、騎士や魔術師の実力をはかるのはいいとして、文官のほうは? 皇配に必要なのは強さだけじゃないだろう? 俺だって本当は力仕事よりも頭動かすほうが得意だし」


 ライナスはそう言ってほんの少しだけ首を傾げる。わたしは待ってましたとばかり身を乗り出した。


「いいところに気づいたわね。大丈夫よ、そっちのほうもちゃんと考えてあるから」

「と、いうと?」


 問いかけに、わたしはふふんと鼻を鳴らした。


「武闘大会の準備をしてくれる文官をあらゆる部署から公募して、手際の良さとか段取りの上手さとか、そういう面を評価をしようと思っているの。通常業務から外れた動員なんて面倒くさいってタイプの人間は、元々大したやる気もなく、皇配になりたいなんていうだいそれた夢も持たないと思うのよね。それから、武闘大会とは別口で、自由に政策を立案・発表する場を設けようと考えてるの。人前でスピーチができないようじゃ皇配になるのは難しいし、若手の文官にも経験を積ませたいから。もちろん、良い意見は実際に採用するつもりよ。どれだけいい考えを持っていても、上司に潰されてちゃ意味がない。皇帝や皇女に直接発表をする機会なんてそうないから」


 わたし自身、十六歳になったのだし、なにかこれまでとは違うことをやってみたいと思っていた。この国をもっと良く、導いていくためのなにかを。

 結婚相手を選ぶのは一生に一度なんだし、またとない機会だ。せっかくだから、やってみたいことを全部形にして、一石二鳥・三鳥を狙っていきたい。