「わたしさ……ライナス以外にもいると思うんだよね。『自分は機会に恵まれないだけで実力がある。皇配になりたい、ふさわしい』と思っているような男性が」


 それは疑念ではなく確信。
 権力欲があって、自分に自信があって、機会が巡ってこないことに苛立っている男性はいる。絶対にいる。こういう人間の不満は放って置くとあとが怖いし、できたら一緒に対処してしまいたい。


「それはそうかも知れないけど、みんなに平等に機会を与えるなんて無理なんじゃ……」

「……ううん、できる!」


 言いながら、わたしは思わず立ち上がる。ライナスとヨハナがはたと顔を見合わせた。


「そうよ! その手があるじゃない? わたしは別にライナスにこだわりがあるわけじゃないし、これなら効率よく優秀な男性を炙り出せるもの。上手く行けば、誰もが皇配相手にふさわしいと認めるような男性が見つかるかもしれないし、国にとって悪いことは一つもないし」

「なにをする気なんだよ?」


 ライナスの問いかけに、わたしはニヤリと口角を上げる。


「異種武闘大会をやろう!」