(知りたいな……)


 なんだかウズウズしてしまう。エレン様のことだもの。なんでも知りたいと思うのは当然だ。仮にそれが俗っぽいことだとしても一向に構わない。エレン様のことならなんだって受け入れられるもの。


「気になります?」


 そんなわたしの感情を見透かして、エレン様が尋ねてくる。


「もちろん!」


 間髪を入れず、わたしは力強くうなずいた。


「あなたです、ヴィヴィアン様」

「え……」


 エレン様がわたしの頬をそっと撫でる。


(っていうか、え……? え? ええ?)


 わたしたち、なんの話をしていたんだっけ? ――――思わずそう尋ねたくなる。
 わたし? わたしがなに? なんなの? どういうこと? 本当に、ちょっと待って、エレン様!


「俺が欲しいのはヴィヴィアン様、あなただけです」


 どうしよう――見透かされている。パニクったわたしが訳のわからない解釈をしないよう、エレン様はしっかりと言葉を重ねてきた。これじゃ誤解しようがない。詰んだ。


「皇配というのはとても大変な役職――――よく存じ上げております。広大なこの国の頂点――皇帝の配偶者ですからね。生半可な覚悟では務まらないということも、理解しているつもりです」


 エレン様が微笑む。凛としたその表情に、わたしはゴクリと息をのんだ。