「ヴィヴィアン様、俺の願いは叶ったのでしょうか?」

「え? えっと……?」

「喜んでいただけましたか?」


 エレン様はそう言って、わたしの頭を優しく撫でる。その瞬間、心臓がキュンを通り越し、ギュンッてなった。


「あの、その、エレン様にこんなことをしていただけておそれおおいなぁ、なんて……」

「喜んでいただけましたか?」


 コツンと音を立てておでこが重なる。まずい。心臓が口からまろび出る。
 鼓動、早すぎ。
 音、大きすぎ。
 絶対にエレン様にも聞こえてしまう。ていうか、そんな顔をしていらっしゃるもの。


「ヴィヴィアン様?」


 次いで、なめらかな革手袋の触感が頬を覆う。
 いや。
 いや、いや。
 エレン様の指先がわたしの頬を撫で、髪を掬っているの。これって現実なんでしょうか?


「ヴィ……」

「嬉しいですっ! 本当に本当に嬉しいですっ! っていうかエレン様、わたしが喜んでるってわかってますよね?」