(本当は二度目なんかじゃないんだけど)
エレン様に出会った当初、わたしは魔術師団に忍び込んでは、何度も何度も訓練の様子を覗き見ていた。
当時エレン様は16歳。まだ役職もなく、経験も浅かったはずなのに、幾人もいる団員のなかで一際輝いていた。どこにいても、なにをしていても、すぐに見つけられた。
エレン様の魔法はとても綺麗で、洗練されていて、無駄がなくて。じっと見ているとまるで吸い込まれるような心地がした。いつもお祭り状態のわたしの頭の中が、エレン様の魔法を見ているときは、穏やかに、まっさらになる。それがとっても心地よくて、何日経っても忘れられなくて、見に来ずにはいられなかったのだ。
あるとき師団長に見つかって、以降行きづらくなってしまったのだけど、時々は皇室専属魔術師に協力してもらってなかに忍び込むようにしていた。
とはいえ、最後にエレン様の魔法を見たのは三年以上前のこと。実はめちゃくちゃ緊張しているし、とても楽しみにしている。
「そうでしたか。それではよく見ていてくださいね」
エレン様がそう言って優雅に手を掲げる。その途端、心臓がドキッと大きく高鳴った。
空気が震える。まるで時間がとまってしまったみたいに凛と静かに張り詰める。
呪文を唱える声、杖先からこぼれる光がユリの花を包み込んでいく。眩しくて、眩しくて――――けれど、ちっとも目が離せない。息をするのも忘れて見入っていたら、いつの間にかエレン様がわたしのことを見つめていた。
エレン様に出会った当初、わたしは魔術師団に忍び込んでは、何度も何度も訓練の様子を覗き見ていた。
当時エレン様は16歳。まだ役職もなく、経験も浅かったはずなのに、幾人もいる団員のなかで一際輝いていた。どこにいても、なにをしていても、すぐに見つけられた。
エレン様の魔法はとても綺麗で、洗練されていて、無駄がなくて。じっと見ているとまるで吸い込まれるような心地がした。いつもお祭り状態のわたしの頭の中が、エレン様の魔法を見ているときは、穏やかに、まっさらになる。それがとっても心地よくて、何日経っても忘れられなくて、見に来ずにはいられなかったのだ。
あるとき師団長に見つかって、以降行きづらくなってしまったのだけど、時々は皇室専属魔術師に協力してもらってなかに忍び込むようにしていた。
とはいえ、最後にエレン様の魔法を見たのは三年以上前のこと。実はめちゃくちゃ緊張しているし、とても楽しみにしている。
「そうでしたか。それではよく見ていてくださいね」
エレン様がそう言って優雅に手を掲げる。その途端、心臓がドキッと大きく高鳴った。
空気が震える。まるで時間がとまってしまったみたいに凛と静かに張り詰める。
呪文を唱える声、杖先からこぼれる光がユリの花を包み込んでいく。眩しくて、眩しくて――――けれど、ちっとも目が離せない。息をするのも忘れて見入っていたら、いつの間にかエレン様がわたしのことを見つめていた。