「蓮花〜!!遅刻するわよ!!」

「分かってるよー!今準備してるー!」

何気ない普通の朝。
でもちょっぴりそわそわする始業式。

ドタバタと階段をかけ降り、朝食を食べずに玄関を飛び出した。

「ちょっと、蓮花!!朝ごはん!!!」

「いい!遅刻しそうだから!!」

「もう、、」



『やばい、遅刻しそう、、』

なんて思って走ってると、目の前で揉めてる人がいた。バス停前だ。


「なんなんだお前!!部外者だろ!」

「いや、おっさんが悪いだろ。この女の人の事、写真撮ったろ。警察に連れていく。そして写真を消せ。」


写真を取られたであろう女の人が怯えたように震えている。

『大丈夫かな、、あ、あの男の人、私の高校と同じ制服だ。すごい勇気だなぁ、』

「良いから!とりあえずすぐそこの交番行くぞ!付いてこい!!」

ギロッと盗撮した人を睨みつけ、腕を掴み連れて行ってしまった。

『すごい、、ちょっと怖かったな、……あ。』
「遅刻する!!」

私は交番に向かったのを見て安心して走って学校へ向かった。


勢いよくドアを開け黒板へ向かった。

「蓮花〜!私の隣の席だよー!」

高校1年の時から仲良くなった花ちゃんに声をかけられた。

「え!ほんと!!やったー!!花、おはよう!」

「おはよう〜、蓮花はいっつもぎりぎりだねぇ」

はなちゃんはいつもにこにこしていて皆に優しい。

「うん、今日も寝坊ギリギリだった〜」

「もー、どうせ夜更かししてたんでしょ?」

「うん、漫画読んでた!笑」

「ダメだよ、夜更かしはお肌に悪いんだから〜」

「だよねー、あ、そういえば、さっき痴漢捕まえてる同じ制服きた男の子いたんだよね、でも見た事なくてさー」

「え、凄いね、でも学科とか違ったら、誰か分かんないんじゃない?」

「そうだよね〜、でも、ちょっとかっこよかった。」

「蓮花って、すぐに好きになるよね。その人のことも好きになったりして。」

花はそう言いニヤッと冷やかすように笑った。

「もう〜!そんな事ないよ!!」


何気ない会話をしていると体育館で始業式が
始まるよーと、先生が報告に来た。

少し、さっきの男の子が居ないかそわそわしていると
小声で花が声をかけてきた。

「さっきの男の子の事探してるんでしょっ!」

「え、いや!探してないし!!」

「えー?でも、ちょっと顔赤くなってるよ??」

「なって無い!!」


そんな会話をしていると後ろから先生に怒られた。
結局あの男の子いなかったし。




「あー!始業式疲れたー!」

教室に戻り体全身を伸ばす。

「やっぱり疲れるよねー、ずっと立ってると」

やっぱり花も体を伸ばしている。

「いた?あの男の子。」

「え!いなかったよ!!!」

「やっぱり探してたんじゃん。」

「もー!冷やかさないでよ!!」

「友達の恋は応援するよ??」

「まだ恋してないしっ!」

「でも蓮花、今まで無かったよね、本当に好き!って感じの人。」

「うん、いなかったかも、?」

「これからできるといいね!!」

「うん!」


それからHRがあって帰る時間になった。

「蓮花〜、今日一緒に帰る??」

「もちろん!」


「蓮花さん!悪いんだけど、これ、職員室まで届けてくれない??」

タイミング悪く担任の先生に声をかけられてしまった。

「あー、わかりました!ごめんね、花、先に帰ってて!」

「分かった!運が悪かったね、またあした!」

「うん!」




『もう、なんで私が、、』



届け物を職員室まで持っていき、ドアを開けた瞬間、
見覚えのある後ろ姿を見つけた。

「あ!」


「ああ?」

今朝と同じように睨みをきかせた表情でこちらに顔を向けた男の子。先生に怒られてるみたいだ。

「あ、いや、なんでもないです、ごめんなさい。」

先生に頼まれたものを置いて、盗み聞きをしていると会話が聞こえてきた。

「なんで初日から遅刻するんだ!停学明けだぞ!」

「……寝坊っす。」


『え?朝の事で遅刻して怒られてるのかな、、理由言ってないのかな、、』

「だから!お前は気が緩みすぎだ!」

「あー、はい、、」

『なんで理由言ってないんだろ。』


頭ごなしに怒っている先生にイライラか募る。

「そんなんだったら、卒業出来ないぞ!」

「あの!!!!!」

あ、しまった、やってしまった。
その場にいた先生方が目を見開きこっちに視線が集まっている。

「…私、見ました!その人が今朝、多分、、バスで盗撮されて女の人を助けて、盗撮魔を交番に連れていくところを!」

「え、あ、そうだったのか!?何故言わない!」

「……信じてくれたんすか?俺が言って、今まで何も信じてくれなかったっすよね。」

「だが!」

「もうこの話は終わりで。帰ります。」

「あの!!」


声をかけても振り向かず、すぐに職員室から出ていってしまった。



「追いかけないと。」




今考えると、この行動が私が恋に落ちた原因だったのかもしれない。