私はテイキさんに報告をすることも忘れ、とぼとぼと家に帰った。

 あの人は諦めないと言った。
 きっとまた家の近くまで来るだろう。

 テイキさんが知ったらきっとショックを受けるはず。
 自分ではない人のところに私が行ってしまうのでは無いかと、また嫉妬をしてしまうかもしれない。

 でもテイキさんがなにか言ってくれたところで、あの人は簡単に諦めてくれるだろうか…?


 あの人は宣言通りほとんど毎日家の近くに来て、私の返事を聞いてくるようになった。

 学校やアルバイトの時間をずらしても、次の日には私のもとにやってくる。
 あのボディーガードのような部下の人と一緒に…

 家には叔父だというあの人のことが書かれたものは何もなかった。
 本当に両親は、懸命に二人で生きてきたのだと実感する。

 それにしても、テイキさんになんて言おう…?
 
 私はテイキさんに何も言えず連絡も出来ないまま、叔父さんがいつか私の家まで来ることに怯えながら何日も過ごしていた。