それ以降、テイキさんは前よりも素っ気なさが減ったような気がする。

 私が何かを聞いても前よりも頷いてくれるようになったし、前よりも少しだけ笑ってくれるようになった。

 そして何よりも私と一緒に家の近くまで帰ってくれることが、私は一番嬉しかった。

 きっと忙しいのに…
 でも、テイキさんと一緒にいられる…

 私はなお一層テイキさんを嫌な気分にさせたくなくて、しっかりとテイキさんの顔色を伺うようにした。

 テイキさんが時々、とても不安そうな表情をするから…


「…ナツ、疲れたか…?」

 テイキさんは学校帰りに待ち合わせている日に私の顔を見ると、私の心配をしてくれる。

「大丈夫です!ありがとうございます、テイキさん…!」


 そして私の顔見知りの人が近くに来れば、私をその人から少し遠ざけるようにした。

 いつもあまり変わらないテイキさんの表情が変わるときも、私を心配するときや私に対して笑いかけるとき。

 きっとこれがテイキさんの愛情表現なんだと、私は心から納得した。