『二度も助けてもらったお礼のため。高いものは買えないからせめて限定品を』、
 そう思っていた私。

 しかしトロい私はその店ではやはり何も買えず、他の店も急いで見て回ってなんとか別の限定品を手に入れた。

 あとは黒川さんがこれを受け取ってくれて、私がしっかりと面と向かってお礼を言うことができれば…

 しかし、本当にそれだけで良いのだろうか?

 私は、自分を見てくれる彼が気になった、どんな人なのだろうと気になった、おまけに結婚はしていないのだろうかと気にした。

 …こんなに黒川さんが気になるのに…
 きっと、会ってくれるのは用がある今日が最後になる…

 家に戻った私は、一人残りの家の片付けをしながらそんなことをずっと考えていた。