私は青沢奈津。
 現在大学生で、五つ歳上のアツシさんと付き合っている。
 付き合いはまだ一年経っていない。

 きっかけは高校時代の先輩の紹介。

 とても優しい人だと思った。

 いつも歳下の私のことを気にかけてくれて、声を掛けてくれる。
 でもそれは、私が思うのとは少し違う意味だった。


「あ、アツシさんっ…お父さんとお母さんが…」

 私の両親が交通事故で亡くなり、兄弟もいない私は孤独に。

 アツシさんは何も言わずにほとんどを手伝ってくれた。


「アツシさん…ほとんど寝ていないでしょ…?私の両親のことだし、これ以上は申し訳ないもの…。少し休んだほうが…」

 私の両親は駆け落ち同然で実家を出て一緒になった。だから親戚を呼ぶことまでは気を回さずに済む。

 それでも、知り合いのためのお通夜に、両親のためのお葬式に遺品整理、財産の整理…
 両親が裕福でないながらも買ったこの小さな家でも、することはたくさんあった。

 アツシさんは疲れを見せながら無理やり笑う。

「…なっちゃんがこれから困らないようにしてやらなくちゃな…。僕に任せて。ずっと辛かったろ…」

 アツシさんは優しく私の頭を撫でる。

 私はもうすぐ二十歳。
 好きな人に頭を撫でてもらうのは嫌いじゃないけど…
 だけど…