本部長はキリリと引き締まった顔を皆に見せた。かっこいいんだけど、ちょっと怖い。

 前に先輩がつわりで休んだ時、私が本部長の事務をした。本部長は役員もやっているから大変なのだ。
 
 仕事がすごく出来る人だと紗良先輩が言っていた。だから、本当はビクビクしていた。
 
 ところが、私がやりやすいように準備してから仕事を振ってくれる。だから、こんな私でもなんとかやれたのだ。

 本部長は怖いけど、そういう気遣いが出来る優しい上司だと初めて知った。
 
 振り向くと本部長は紗良先輩に笑顔で話しかけてる。先輩のこと大好きなんだよね。
 
 いいなあ。先輩は仕事も出来るし、男の人にはモテモテだし。ああいう女性になりたいよ。まあ、無理だけどね。

 「香那ちゃん。ちょっといい?」

 お腹が目立ってきた紗良先輩が横に立ってる。

 「はい」