御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい


 「お前が想像するような関係じゃない」

 「……私何も言ってませんけど」

 本部長は咳払いして、こちらを見た。

 「お前、俺が社長の関係者だって知っているか?」

 小さくうなずいた。実は本部長の仕事を先輩の代わりにするとき、先輩から聞かされた。知っておいた方がいいからと。社長から呼ばれたら、どんなときでも本部長には連絡するようにと言われ、内緒事もあるかもしれないと言われたのだ。

 「先輩から聞かされています。社長のご長男でホントは御曹司なんですよね?」
 
 本部長は、笑い出した。こんな顔初めて見た。

 「本当は御曹司って、まるで俺が偽物みたいじゃないか……」

 「あ、そうでした。本当に御曹司の間違いでした。すみません」
 
 本部長はまだ笑ってる。