御曹司は部下の彼女に仕事も愛も教えたい


 「本部長こそ。左の頬が赤くなってますよ。あの人何なんですか?苦情にしたって手を出すなんて許されませんよ。何で避けなかったんです?」

 「お前こそ、何で間に入るんだよ」

 「だって、そうじゃないとまた叩かれようとしてたから、いくらなんでも止めないといけないと思ったんです。間に合わなかったけど……」

 本部長ははーっと膝を突いてため息を吐き、私のことを見た。

 「とにかく、手当しよう。そのままだとまずい。首だしな、障害事件みたいだ。お前、家どこだ?」

 「え?千葉です。大丈夫ですよ。ハンカチで抑えていくか、絆創膏貼って帰ります」

 本部長は私の腕をつかんだ。

 「だめだ。傷から化膿でもしたら困る。俺のうちはすぐ近くなんだ。手当してやるからちょっと寄っていけ」