椎名本部長はわたしの肩を押さえて、顔を見て私と気付いたんだろう、怖い顔向けた。
「何してるんだ、馬鹿!」
よろけた私をびっくりして支えて、目の前の呆然としている女性に本部長が言った。
「もういいでしょう。彼女に怪我させたとなったらあなたも困りますよね。それに、ご心配には及びません。あなたが心配するようなことは決して起きない」
彼女は目を見開いて私を見ていたが、すぐにきびすを返していなくなった。
本部長はわたしのことを肩をつかんだまま正面に向けてじっと見た。
首筋に手をやって、撫でた。
「なんで、こんなところにいたんだ。少し切れて血が出てる」
私は自分で首筋に手をやって、本部長の顔を見た。



