「うん。彼となら頑張れる。彼は御曹司だけど、両親が離婚してるからこれから大変だと思うの。でも支えていく覚悟が出来た」

 「そうね。あちらのご家族のお話を聞いたらお前なんかで大丈夫かとちょっと心配だけど、あちらにないものをお前は持っている」

 「え?」

 「家族としての形。家の中で父母がそろった家族の形をお前はずっと見て育ってきた。彼はご両親が離婚された時からそういう形が消えてしまっている。お父様も再婚されお子さんが出来たときどれほど辛かったか。彼の心に足りない分の愛情をお前が満たしてあげなさい」

 「……はい」

 「幸せになりなさい」

 私は嬉しすぎてお母さんにしがみついて泣いてしまった。お母さんも私を抱きしめ、泣いていた。