彼はこちらに回ってきて、私にエプロンをかけた。大きなピンクベージュの縁取りのあるフライパンの前に私を立たせると、自分はその向かい側に立って、頬杖をつきながら話し出した。

 『今日は三人で何を作ってくれるんだ?』

 私は答えた。

 『今日は、あなたの誕生日だから三人でお昼ご飯を作ってあげます。一番下の妹がソーセージ担当。お兄ちゃんは卵焼き担当。私がチキンピラフ担当よ。愛情たっぷりオムライスが出来るのを見ていてね。さあ、練習通りに出来るかな?乞うご期待』

 彼が言う。
 『それは楽しみだ。ケチャップを出して待ってるよ』

 私が可愛い声で言う。
 『パパ、動かないでそこで見ていて』

 彼が言う。
 『ああ、見てるよ』