「いや。ちょっと用事があるんだ」

 車を停めると、二人で降りて、内部のエレベーターを使う。

 とある部屋の前に行くと、彼は鍵を出して認証を通し、玄関を開けた。

 「どうぞ」

 そう言って、私を通す。
 ピンクベージュで統一された室内。
 
 明るい室内には大きな花束がリビングのテーブルに置かれていた。

 ダイニングを見て固まった。
 大きさが違う調理器具。大きさの違うフライ返し。鍋。
 私が一番最初にラフ案であげたが、却下された商品もある。

 アイランドキッチンには同色のフライパンが電子コンロの上にそれぞれ大中小と並んでいる。