俺は部屋へ戻ると、香那の事が心配でならなかった。

 ふたりの共通項について聞いていなかったが、失敗だったかもしれない。
 うかつな自分に驚いた。

 さっそく椎名不動産の担当者との飲み会を考えたが、接待にするべきなのか悩んだ。
 父に聞いたところ、笑われた。

 「別にうちが接待してやってもいいが、由奈が何と言うかな?あっちから持ちかけた話だから、本当ならあちら持ちだろう」

 「母さんに言っておきます?」

 「いいや、お前が計画したんだったら、こちら持ちだな。打ち上げはあちらにやらせたらどうだ?」

 「……なるほど。そうします」

 「うまくいってるらしいな。由奈からはそう聞いている。お前全然報告してこないだろ」

 「すみません。まだ、報告する段階ではないかと思っていました」