「ああ。君は転職したばかりかな?だから俺の担当にさせられたんじゃないか。面倒な奴と俺は思われてるだろうし……」
英嗣さんは笑っている。
「失礼しました。社長のご子息とは知らず……」
「いや。こちらこそ事前に話さないで済まなかった」
「いいえ。でもここを契約するとなれば、椎名さんではなく、水川さんでいいんですよね?」
私の顔を見た。
「……そうですけど、まだ決めたわけでは……」
「何か不満でもあるのか?」
ちろりと英嗣さんが私を見る。家賃も聞いてないのに、ダメだよ。
「あ、あの家賃教えてくれる?」



