「すみません、椎名ですが……」 「あ、私が内覧担当させて頂く柿崎です」 スーツ姿の男性がそう言ってこちらを向いた。うそでしょ。どうして……。 英嗣さんを見て挨拶していたまなざしが隣で呆然と立ち尽くしている私に移った。 その目も大きく見開かれ、つばを飲み込んだのがわかった。 彼は担当者の表情を見た後、私の方を見た。 「あの、彼女と知り合いでしたか?」 私が何も言わないので、彼がしびれを切らしたのだろう、目の前の彼に聞いた。 「もしかして、香那?」 彼が私に小さな声で話しかけた。