「許してるよ。お前にはいい話だったし、向いてる仕事だろう。チームで取り組めるのもいい」

 「でも、営業三部なら本部長が担当ですから会えますよね」

 「……まあな。たまには」

 香那はまた黙っている。

 「どうした?」

 「秘書じゃなくなるから、会社でも優しくしてくれますか?」

 潤んだ目でこちらを見上げた。
 抱きしめて背中をさする。

 「優しくしたら、また噂になりそうだが、もういいだろう。俺もたまにしかお前に会えないとちょっかいかけたくなりそうだ」

 そう言って抱きしめた。