「香那。この機会に俺の家の近くへ越してこい。ひとり暮らししろよ」 「え?」 「会社では内緒だし、休みのときくらいしか恋人らしいことはできないからな。ご両親に相談してみろ」 「やだ。本部長なんか……言い方がエッチ」 「香那はお子様だからな。まず俺が大人に育ててやらないといけないし大変だ」 そう言うとあっけなく電話は切れた。 彼の捨て台詞に電話を置いて震える私は、彼と恋人なんて絶対無理だといつもの台詞を唱えてしまった。