「どうしてって、香那の親友なのに気付かないとでも思ってたの?いっつも本部長のことじーっと最近見てるじゃん。ていうか、本部長に告白された?本部長、すごいよね。なんか追っかけの女子社員に香那のこといじめるなみたいなこと言ったらしいよね。噂になってるよ」

 う、うそ。この間のことかな?

 「ご、ごめん」

 「何に謝ってんのよ?もう、違うの、橋本君が香那に告白してフラれたら私が告白しようかと思ってたの。そうか、まだ告白してないなら諦めたのかもね。本部長相手じゃさすがに勝ち目ないもんね」

 「そんなこと。でも、橋本君のことは応援する」
 
 「気持ちは嬉しいけど、何もしないで。彼が可哀想だから。香那が好きなのはわかってるし。私、頑張るわ。早く本部長とくっついて。そうしたら橋本君にアタックしやすくなる」

 そう言って、苦笑いする佐知。

 私はコーヒーをじっと見つめてしまった。