「……そうかな。香那を見る眼がさ、違うような気がする」

 もしかして、佐知。

 「……違ってたらごめん。佐知、橋本君のこと好きなの?」

 佐知は小さくうなずいて、赤くなった。か、可愛い。

 「入社前の研修のときから好きになったの。優しいよね。私が知らない素材のことをさりげなく紙に書いて教えてくれたの。私だけかと思って誤解しちゃって、気付いたら好きになってた。いつも変わらないしね」

 「そうだったんだね。ごめん、気付いてあげれなくて。あ、あの私、彼には何も言われてないし、そ、その。私は……」

 佐知は笑っている。

 「わかってるよ。椎名本部長が好きなんでしょ?」

 「え?ど、どうして……」