「だって……なんかおかしい、絶対違う」

 「何が違うんだ?せっかく好きな女が誰か内緒で教えてやろうと思ったのにな……よし、ヒントをやろう。俺はお前を仕事だけじゃなく、プライベートも育ててやるつもりだ」

 え?今なんて言ったの?プライベートもって……。

 「さあ、駅だぞ。どうする?自分で帰れるか?酔っ払い」

 「帰れますよ」

 「俺の言ったことをよく考えろ。わかったら返事をしろ。ちなみに『無理です』といういつもの台詞もだめだからな」

 そう言うと、私の背中を押して、改札へと送ってくれた。
 つまりこういうことなの?あんなに、仕事が出来てイケメンの上司が私を好きかもしれない……美人でも仕事が出来るわけでもない私を?やっぱり信じられない。

 まずいよ、ああ……どうなってるの?社長賞もあるし、パニックになってきた。どっちも無理と心の中で叫んだ。