「ゾーイさん、お久しぶりです」

ルーチェが挨拶をすると、ゾーイは「何で、ルーチェがこんな所にいるんだ?」と首を傾げる。

ルーチェは、ナタリーとネイサンに説明したのと同じ内容をゾーイに伝えた。

「なるほどな」

ゾーイが、そう呟いた時。ルーチェたちの近くに、黒い光線が降り注ぐ。

ロネはゾーイを守るように抱き締め、ナタリーは突然のことに驚き、ネイサンは防御体勢を取る。そして、ルーチェは咄嗟に周りに半球形の防壁を張って攻撃を防いだ。

「……急に、何だ……?」

光線の雨が止み、防壁を解いたルーチェは空を見上げる。空には、1人の金髪の男性が浮いた状態でいた。片手には、1冊の本が握られている。

「……」

ゆっくりと、男性は着地する。ルーチェは男性から呪具が放つオーラを感じ取り、皆を守るように前に出た。

「貴様は……あの、クロウディア家で生まれた子だな。この呪具は、クロウディア家のことを知っているからな」

「……!」

男性の口から出た言葉に、その場にいた全員は驚いた顔をする。

「俺はこの世界で生まれた魔法使いで、異世界のことは何も分からない。だが、全てはこの呪具が教えてくれた。これは、かつてクロウディア家を滅ぼそうとした呪具だ。クロウディア家で生まれたなら、聞いたことはあるだろう。呪具使いを嫌っている理由を」