「え?でも……」

「でも、じゃないって!ルーチェさん、いつ元の世界に帰れるか分からないでしょう?その間、どうやって過ごすんですか?異世界のことはお母さんたちも知ってますし、ルーチェさんのことを受け入れてくれますって!」

「……分かったよ」

渋々ルーチェがそう返事をすると、ロネは「では、行きましょう」とルーチェの手を掴んだ。

ルーチェは頷くと立ち上がり、ロネの後をついて歩き始める。

歩いている間、ロネはルーチェたちが異世界に帰ってから今まで起こったことを話した。

「それで、今から数日前にテレビでやってたんだけど、1人の魔法使いが暴走したらしくて……ルーチェさん、もし何か異変を感じたら教えてください」

今ロネの住む世界で起こっていることを聞いて、ルーチェは驚きながらも「分かった」と返事をする。

(…………それにしても、テレビっていう単語……十数年ぶりに聞いたな。転生後の世界にはテレビなんてものは存在しないからね……)

ルーチェはロネの口から出た単語に、懐かしさを感じた。それと同時に、ルーチェはふと日本に行きたい、そう思ってしまう。

(……まぁ僕には今の生活の方が合ってるし、今の方が楽しいから、転生前の生活に戻りたいかって聞かれたらそうじゃないけど……それでも、日帰り旅行感覚で日本に行けたら……)