光の行く末は【転生したら、魔王の側近でした×アテナ・イェーガーシリーズ】

アーサーの言いたいことを理解したルーチェは、何かを考え込んだ。

「…………力になってくれそうな人に、相談するしかないのかな」

ルーチェの呟きを拾ったティムは「相談するって、誰に?」と首を傾げる。

「……父様かな。様子のおかしいクラル様と会うのは少し気まずいけど、父様なら力になってくれる」

ルーチェの言葉に、アーサーは「なら、クラルさんの父親がいる所に行くか」と頷いた。



「なるほど。クラルの様子がおかしくなった原因は、今暴走している魔法使いの持つ呪具のせいじゃないか……と。ルーチェは、そう考えているわけだね?」

ルーチェの暮らす館にやって来たルーチェたちは、クラルの父親に全てを話す。

ルーチェが頷くと、クラルの父親は何かを考え込んだ。

「……でも、あの呪具には記憶を消す能力はなかったはずだ。多分だけど、クラルの中からルーチェに関する記憶がすべて消えている。リルから話を聞いて、クラルにルーチェについて聞いてみたけど、何も覚えてないようだった。それ以外は普通だったから、記憶が消えたと考える方が妥当でしょ?それと……俺は、ルーチェのことを避けていたのは記憶が消える前兆だったんじゃないかと考えている」

「……じゃあ、何が原因で……」

「…………俺の推測でしかないけど、ロネくんたちの世界にある魔法じゃないかなって思う。もし、あの呪具を持つ魔法使いが、クラルにルーチェに関する記憶を全部消す魔法をかけたとして……一体、何のために?」