皆の真剣な様子を見て、ルーチェは「分かったよ……その代わり、無理をしないこと!」と言った。

皆は頷き、ルーチェに促されて八咫烏に乗る。そして、八咫烏はルーチェの住む世界に行けるという穴に向かって飛び始めた。

「……ルーチェさんの住む世界……どんな感じなのかな?」

「少なくとも、この世界とは違うよ。だって、僕の住む世界にはないものが、この世界には沢山あるからね。僕の住む世界にないもの……例えば、テレビとか携帯とか。後は、暖房や冷房とか」

ルーチェにとって、懐かしいと感じる単語を並べる。

「え!?どうやって、暑さや寒さとかしのいでいるんですか?」

「んー……というより、年中暑くもなく寒くもないから必要ないんだよ。こっちでいう、春と秋が交互で来る感じ」

「羨ましいわ……」

そんな会話をしていると、八咫烏は開いていた穴に飛び込む。すぐに、景色はルーチェにとって見慣れたものに変わった。

「本当に、僕の住む世界に来た……しかも、僕の住む家の近くじゃないか!」

下に広がる景色を見ながら、ルーチェは言う。八咫烏は『そうですね。助かりました……急ぎます!』と少しスピードを上げた。

少し飛んでいると町の上空に着き、ルーチェは破壊された町を見て言葉を失う。