ルーチェは、幸せそうに笑う。

(ルーチェさんは、良い人に巡り会えたんだね。良かった)

その笑顔を見て、ロネは優しく微笑んだ。

『主人!!』

風を切る音とともに、ルーチェにとって聞き覚えのある声が聞こえる。声の主は、ルーチェの持つ呪具の化身・八咫烏である。

「八咫烏!?どうして、ここに!?」

『主人の魔力を追っていたら、異世界に繋がる穴が空いていまして……!』

「異世界に繋がる穴、だと!?」

八咫烏の言葉に、ネイサンが反応した。

『とにかく、戻ってきてください!呪具に取り憑かれた、こちらの世界の魔法使いが町で暴れているんです!』

「何だって!?早く行かないと……!八咫烏、連れてって!!」

ルーチェが叫ぶように言うと、八咫烏は巨大化する。それにルーチェ以外は驚く……が、八咫烏に飛び乗るルーチェに、ロネはすぐに「俺も連れてってください!」と声をかけた。

「……ロネ?」

「俺も、一緒に魔法使いを止めます!お願いです、連れて行ってください」

必死に頼む様子を見て、ゾーイは「私も行く。ロネが心配だからな」と言い、ロネは「ゾーイ……」と頬を赤くする。

「俺も。俺は、勇者の息子だからな。2人だけじゃ、心配だ」

「皆が行くなら、私も行くわ!」

『……主人、どうします?私は、構いませんよ』