「あっ!見て見て!校庭にリユくんいる!!」
「ジャージ姿もカッコいい〜!!」
ヴァンプ(ヴァンパイアの短縮形だそうです)は、見た目が人間に近く、血をもらうことがあるからなのか、他の種族の中でも人間に近しい存在です。
更にヴァンプの血を引く者たちは、みんな美麗な容姿を持って生まれるのだそう。
リユくんも例に漏れず、学年一の美貌を誇り、成績も学年トップ。
運動神経も抜群な、正に完璧なヴァンパイア様です。
入学当初から絶大な人気を誇り、種族問わず女の子にモテモテです。
こんなすごい人が私の彼氏、なんて。
「!!」
「きゃーー!!今リユくん手を振ったよね!?」
「あたしに手振ってくれたのよ!!」
「違う、私だよ!!」
笑顔で手を振るだけで、この破壊力と大騒ぎ。
今のは、私に手を振ってくれていたような気がします。
「……っ」
「小宵!?リユにメロメロになっちゃってる!!
戻ってきて〜!!」
――ああ、ダメです。
私なんかがリユくんの彼女になれただけで夢みたいなのに、好きになるともっと欲張りになってしまいます。
好きです、リユくん。
まだ直接言えたことはありませんが、好きなんです。
でも、多分私の好きとリユくんの好きは違うから――この気持ちは胸に留めておきますね。
「あーーっ!!小宵!あれ、いいの!?」
「あ、あれ?」
「あれよ!!魔女の極月イリア!!」
言われて見ると、リユくんの隣に美しくて長い黒髪の女の子がいました。



