溺愛ヴァンプはピュアな彼女を本能よりも愛し抜きたい。



「俺の方こそ、ずっと一緒にいて」

「リユくん…」

「小宵が好きだよ。大好き」

「私も……っ」


何も持たない、何の取り柄もない私ですが、それでもリユくんの傍にいたいです。

ずっと自分に自信がなくて、真正面から受け止めることができなかった。
リユくんが好きなのは私自身ではなく、私の血なんだと思い込んでいた。

あなたはこんなにも真っ直ぐ伝えてくれていたのに。
ずっと信じられなくて、ごめんなさい――。


「う、う〜〜…」

「あはは。大人になっても小宵は泣き虫だね」


リユくんは笑いながら白い指で私の涙を拭ってくれました。


「う、うれしくて…っ」

「かわいい」


チュッと額にキスされます。それだけで私の顔はボボボッと火がつきました。


「小宵、かわいい。食べちゃいたい」

「食べ……!?あっ、血を飲まないとですよねっ」

「そういう意味じゃなく、もっと小宵を愛でたいっていうか」


愛でる……?


「小宵はさ、まだわかってないでしょ?
俺がどんなに小宵を好きなのか」

「え、え?」

「俺が欲しいのは小宵の血じゃない、小宵自身が欲しいんだよ」

「っ!?」


そ、それは一体どういう意味で……!?


「もちろん血も欲しいけど、それ以上に小宵が欲しい。だから教えてあげるね?

――どんなに小宵を愛しているか」


耳元で甘く囁かれ、私のキャパは限界を迎えました。

私はもしかして、すごい人に囚われてしまったのでは――?

いえ、人ではなく極上に麗しいこのヴァンパイア様に、これからもずっと溺れ続けるのでしょう。


「……溺れているのは、俺の方だけどね」


その言葉は、キャパを超えた私の耳には届いていませんでした。



fin.