その後、私は一人で花壇の前にぼーっと立っていました。

いつもなら水やりをしているはずなのに、今日はそんな気分になれなくて……お花たちに申し訳ないです。

思わず逃げ出してきてしまいましたが、どうすればいいのでしょう?
きっとマオちゃんも心配してますよね……。



「――見つけた」



ゆらりと現れた黒い影。

ハッとして顔を上げると、そこにいたのは極月さんでした。
表情の異質さに思わずドキッとしてしまいます。

極月さんは私を睨み付け、一歩また一歩と近寄ってきました。


「……なんであんたなの?」

「え……?」

「あんたみたいな何の取り柄もない人間が、なんでリユくんの彼女なの?」

「……。」

「あんたの存在価値なんてカラダだけでしょ?だから奪ったのに――血の吸えない子どもになったら、捨てられると思ったのに」

「うっ」


い、息が苦しい……!
急に周囲の空気が薄くなり、酸欠状態に……?

息ができません……っ!


「っ、やめ……っ」

「なんでこの私がこんなちんちくりんに負けるわけ!?」


極月さんの怒りと憎しみに比例しているのか、どんどん空気が薄くなっていきます。

もう、ダメです……っ!

私が意識を手離しかけた、その時でした。