溺愛ヴァンプはピュアな彼女を本能よりも愛し抜きたい。



「高度な魔法を使ったことで体調を崩しているのかも」

「だったらマオが寮まで乗り込む!!」

「マオちゃん!喧嘩はダメです!」

「でもこのままだと……!」


マオちゃんはチラリとリユくんを見ます。


「マオ、俺のこと心配してくれるの?」

「違う!!リユが元気ないと、小宵が悲しむじゃん……」


マオちゃん……。

何だかんだで私たちのこと心配してくれるマオちゃん、大好きです。


「何度も言うけど、少しくらいは平気だって。
俺らもそろそろ寮に戻らないとヤバいんじゃない?明日は極月が登校してくるかもしれないし、その時に――」

「リユくんっ!?」


急にガクッとよろけるリユくんに慌てて駆け寄ろうとしますが、足がもつれてドテッと転んでしまいました。


「小宵!!」

「へ、へーきです……リユくんは?」

「大丈夫。今日はもう休むよ」


リユくん、どんどん顔が青ざめているようで汗もかいています……。
本当に大丈夫なのでしょうか――?

もうトマトジュースでは騙せなくなってきているのでは……?

私は自分の両手を見つめました。
幼くて小さなこの手に何ができるのでしょう?

自分の無力さを痛感させられました。