やっぱりリユくんの美しさは生まれ持ったものなのですね……。


「別に大したことないよ」


リユくんは素っ気なく言いました。


「暁月家は純血故に血へのこだわりが強い。
本能的に自分好みの血――ブラッディハニーを求める」

「ブラッディハニー?」

「リユにとっての蜜月さんってことだよ。
極上に美味しい血を持った人間のこと」


私が、ブラッディハニー……。

本能的に求められた血というわけですね――。


「暁月家は――」
「桃李。」


続きを説明しようとする皐月くんをリユくんが遮りました。


「もういい。うちのことまで話すのは蛇足だろ」

「そうかな」

「てゆーかなんで皐月はそんなに詳しいの?」

「ヴァンプの常識だからだよ」

「皐月はダンピールじゃん」

「まあね。とにかくリユの体は多少保つかもしれないけど、油断はできないってことが言いたかったんだ」


やっぱりそうですよね……。
リユくん、気丈に振る舞っていますけど、昼休みの時より顔色が悪くなっています。


「さっきも言ったけど、キスすらできないとなるとかなりヤバい。一刻も早くどうにかしないと」

「今のところはトマトジュースで何とかなってるよ」


そう言ってリユくんはペットボトルのトマトジュースを取り出しました。
パックでは足りなくなったということでしょうか。