しかし、30過ぎても、寅さんのように全国をフラフラしていたところ、年老いた親から、

「無理に結婚しなくてもいい。孫も要らないから、もう少し落ち着いた暮らしをして頂戴…」

泣きながら言われたので、今は、職場もアパートも、実家からそう遠くないところである。

なので、アンポリと再会したのも、割と最近のことだ。

仕事の往復などで鉢合わせたときに、少し話す程度なので、中学を卒業してから30代までのアンポリの人生も知らない。

移動の車中で、あれこれ話していたところ、アンポリは、まあまあの進学校から、地元の国立大へ進学、そして市役所…という、まさに堅実コースだった。