ふたりの唇が離れ、すみれは迫田の首に手を回しその耳元に囁いた。

「迫田さん。私を抱いてください。」

「まったく、君はとんだ小悪魔だな。」

「私は悪魔ですか?」

「ああ。俺の心を惑わす小悪魔だ。」

「悪魔なんて嫌です。」

「じゃあ天使だ。どちらの君も魅力的だよ。」

迫田はベッドの上にすみれを横たわらせ、その上に覆いかぶさった。

迫田の燃えるような瞳がすみれの胸を焦がした。

「もっと早く君に会いたかった。そうすればずっと君を独占できた。」

「・・・もうとっくに貴方は私を独占してます。」

すみれの首筋に唇を這わす迫田に、そうつぶやいた。

「君といると何故だか安心する。」

「私はドキドキします。」

「俺もドキドキしてる。ほら、鼓動が早くなってるだろ?」

すみれは迫田の胸に耳を当てた。

「本当だ。早くなってる。」

迫田は目を伏せて言った。

「・・・君の中に誰が住んでいても構わない。その心ごと君が好きだから。」

そう言って迫田はすみれの唇に再びキスをした。

「私は・・・今目の前にいる貴方が、世界で一番好きです。」

あおむけになったすみれの目と鼻の先に迫田の顔があった。

迫田がすみれの顔をじっとみつめた。

「すみれさん。」

「はい。」

「俺の・・・俺の名前を呼んでくれないか?」

すみれは切ない顔でそう懇願する迫田を、潤んだ瞳でみつめながら・・・その名を呼んだ。



「愛しています。」













「航さん。」