「転校生かぁ〜。暖ちゃんと話してたって事はこのクラスって事かな?少女漫画だったらイケメンが転校してくるよね〜」


「確かに〜。」



なんて紗栄と笑いながら話し、あっという間に下校時間を迎えた。



紗栄と教室でバイバイした後
私は急足で歩き始めた。


私は高校からは部活に入らずバイトをしている。いわゆる帰宅部ってやつ。
この学校は成績が悪くなければ(赤点さえ取らなければ)バイトをしてもいいことになっている。


バイトは家から近いコンビニで働いている。
大手のコンビニではなく、今時珍しい自営業のコンビニだ。店長もバイト先のおばちゃんも良い人で働きやすく、お客さんも近所の人か馴染みのある人しか来ないから結構ゆるい。



そんな感じだから、毎日味気ない感じで時が過ぎている…。


別に何も問題なく平和で伸び伸び過ごせてるし
今のままでも満足してるんだけどねぇ〜。



バイトもあと少しで上がりだし
今日発売のアイスでもココで買って帰ろうかなぁ〜。


なんてボケーっとしてたからか、
レジで並んでいたお客さんに呼ばれていたのを聞いていなかった…。



「ねぇ。何回も読んでんだけど、一ノ瀬さん」


「あ、っは、はい。すみません。レジですねって、な、なんで私の名前…」


「いや、何回も呼んでも気付かないからネームプレートの苗字見て呼んだだけ。別にあんたに興味ないから安心して。あと早くレジ打って。」


「あ…なるほど…し、失礼しました。えーっと、合計861円になります。丁度お預かりします。ありがとうございました。」



そーいって、スタスタとコンビニのドアに足を運び消えていった、黒い服のフードを被った若め?の長身の男の人。


顔は、フードの隙間からだから、少ししか見えなかったけど目が吸い込まれるような切れ長の瞳でイケメン?だったなぁと思う。