色々と思い出そうとすると、ズキンと頭が痛む。体が震える。涙が、溢れる。

……どうして、涙が溢れるの?どうして、こんなにも苦しいんだろう。

次の瞬間、僕の意識が途切れた。



目を覚ますと、僕は自分の部屋で横になっていた。体を起こすと、部屋にいた父様が僕に近づいてくる。父様の肩には、八咫烏が止まっていた。

「ルーチェ、目が覚めた?」

「……父様?」

「八咫烏が、ルーチェをここまで運んでくれたんだよ」

父様がそう言うと、八咫烏は『急に倒れたので、びっくりしました』と言いながら父様の肩を離れて僕に近づく。

「急に……?モンスターの攻撃を食らった、とかじゃなくて?」

倒れた理由を思い出せなくて僕が首を傾げると、父様は「もしかして……覚えてないの?」と問いかけてきた。

「はい……皆で、リンドウに行ったところまでは覚えています。しかし、それ以降の記憶がありません。思い、出せないです……」

僕が正直に話すと、父様は「そっか……」と小さく笑う。その笑みは、どこか悲しそうな、どこか安堵してるように見えた。そんな気がした。

どうしてそんな表情をしてるのか分からないけど、聞いたらダメな気がしたから僕はあえて聞かなかった。

「そういえば、アーサーたちは今どこにいますか?」

僕が問いかけると、父様は「今は、庭にいるよ」と今度はいつもの笑みで言う。