「……ここに来たのが、自分の意志じゃないって……誰かの命令ってこと?」

僕が問いかけると、ティムは少し黙り込んだ後頷く。そして、ティムは「ここに来たのは、先生からの命令なんだ」と言ってから色々と話をしてくれる。

アーサーとティムは、冒険者育成学校の生徒や先生から笑いものにされてて、悪口とか言われることもあるらしい。原因はよく分からないけど、アーサーとティムが皆と比べて弱いからかもって2人は予想してる……らしい。

「…………」

2人の話を聞いて、僕は無言で2人に抱きついた。

「ごめんね。僕も冒険者育成学校に入学してたら、早く気づけたのに……早く、2人を助けることが出来たのに……今まで、辛かったでしょ?」

「そんな、ルーチェが謝ることじゃ……悪いのは、何も言えない僕らなんだし……」

「違う!アーサーもティムも、何も悪くない!!……2人とも、辛いなら辛いって言っていいんだよ。泣いたっていいんだ。泣くことも弱音を吐くことも、悪いことじゃないんだから」

僕はそう言って2人から離れると、微笑む。ティムの目には、涙が溜まっていた。アーサーも、どこか辛そうだ。

「…………僕は……2人には、無理をして欲しくない。その辛さを、僕にも分けて欲しいんだ……僕にも、2人の辛さを背負わせてよ」