「父様……」

「探したんだよ!この森は、野生のモンスターがいるから危ないって言ったでしょ?お父さんやお母さんがいないところで、モンスターに襲われでもしたらどうするの?魔王兼剣術士の俺でも、守り切れない時だってあるんだからね」

モンスター?魔王?剣術士?

ゲームでしか聞かないような単語が出てきて、内心驚いた。

その言葉に、クラルさんは「……ごめんなさい……」と俯く。少しクラルさんを見ていたクラルさんの父親……かな?は、僕に目を移した。

「ところで、君は?」

「えっと……」

どう返したらいいのか分からなくて、僕は視線を落とす。

2人の会話を聞いてて、僕の……望月光(もちづきひかる)という名前を言わない方がいいと判断したから。

「……僕、どうしてここにいるのか分からないんです。自分の名前も、何もかも……」

嘘と本当が混ざったことを言うと、クラルさんの父親は少し考えると「とりあえず、俺の家に行こうか」と優しく微笑んで僕に手を差し出した。

「……うん」

僕は、その手を握って立ち上がる。妙に、視線が低い。そういえば、目が覚めてから体が小さくなったような感じがする。この展開、良く小説で読んだぞ。